詩人:どるとる | [投票][編集] |
蝕まれた身体
生まれた時から
不治の病にかかっているようなもの
辞書を引いても
書いてないさ
この命を
永遠にする方法
いつか時が来れば
砂時計は
砂を全て吐き出し
僕らは年老いた
その身体を
病魔なり
寿命なり
空の彼方へと
返す
神様はいない世界へ
魂は昇ってゆく
月が夜の闇に食われるように お腹が空きすぎた夜の魔物は月にさえもその牙をのばすのだ
僕らはいつしか
その夜の腹の中
歌さえ歌えぬ
のどは潰れ
目はえぐられ
この身体は
炎の中で肉もろとも
骨となり溶け
深き地中の底へ
葬られるのが運命
月食の絵図
餓鬼のように
腹を空かせた
夜の闇は待つことを知らないから
その時が来れば
誰も皆 運命に負ける
潔くその折はこの世界にサヨナラを云おう
それまでには未練たらたらも棄て
清い白い身体で
死を 待とう
夜の闇が 僕を喰らう迄。