詩人:どるとる | [投票][編集] |
別れを告げる 雨のホーム 朝からしとしとと雨が降る
別れるための口づけは 切ない味
さよなら
そんな言葉も言えないまま
列車を待ってる
あなたとの思い出が鮮やかすぎて 本当は別れることなんかしたくないけど 未練断ち切るためには
言わなきゃいけない
さよならがある
甲斐性もなくて それでもあなたはついてきてくれた それなのに酒ばかり飲んで ギャンブルに溺れた俺から 言い出した
さよならだよ
けじめをつけるためのさよならだよ
君には不幸は似合わない
さよならしなきゃいけない時だ
列車がベルを鳴らしてホームに向かって雨粒を振り切って停車位置で止まれば
そして今 あなたを乗せて 窓が閉まる
小さくこぼした
さよならが発車ベルにかき消されて
届かなかった
この恋に ひとつの別れにピリオドをうち 雨に唄う 切なげなブルース 傘も差さずに雨の中 濡れながら走る 帰り道 必死にあなたの最後の涙を ぬぐい去ろうとしていた
曇りガラスの窓に
あなたが書いた
一言は僕のよわい心を一瞬で 優しさが包んだ
『幸せにね…』
あなたがくれた言葉は 身勝手な僕を最後まで 気遣っていた
自分があまりに 情けなくて 泣いた雨の街
涙が 洗い流されて
汚れた僕の心は あなたへの愛を 思い出させた
きっと僕はあなたを世界で誰より愛していたんだと思う
ただその愛に気づけなかったんだ
僕は雨の中 空に向かって 叫んだよ
さよなら…
あなたへの愛が本物だったからこそ 僕は自分を今恥じている
僕はいちばんなくしちゃいけないものをその時 なくしたんだ。