ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > ひと夏の物語

どるとるの部屋


[3077] ひと夏の物語
詩人:どるとる [投票][編集]


あなたは太陽のように 時に僕を強い陽射しで焦がして
時には月明かりのように深く傷ついた僕を優しく照らす

あなたはまるで
可憐な泥棒のように
僕の心をいとも簡単に
盗み出していく

あなたの笑った顔がもっと見たいから
いつの間にか泣いていたのも忘れて笑ってる僕がいる
ひたすら追いかけてゆく
白い雲の行く先は誰も知らない 無垢な少年のままの瞳に映る
きらめきながら
遠ざかる何もない景色に色をつけるあなたのくれる ひと夏の物語 抱きしめて

部屋中には二人で撮った写真を貼ろう
思えばあんなこともあったね こんなところにも行ったね
幼い日の思い出にはかなわなくても 二人にしか見えない
素敵な景色に出会うため 僕はペダルをぐっと漕ぎ出す
終わらない
夏をめざして走る

過ぎ去ってしまえばうだるような暑さもぬぐい去ってもきりがない汗もかげろうのようなものだけど
二人で積み重ねた
思い出はいつまでも
消えることはないさ

すべての人に夏はやって来る 待ってても待ってなくても
強い陽射しに汗を流して 暑いななんて言っている自分がなんだかおかしくて 笑ってる それだけで夏だって思うけど やっぱりあなたがいなけりゃ僕の夏は始まらない だから 抱きしめる ひと夏の物語

抱きしめて…
受け止めて…
風をきって…

汗をかき、かきペダルを漕ぐ僕の足が止まったとき 汗もひいて 夏は嘘のようにまた遠い旅に出る
そして僕らは 何度でも繰り返すのさ

そして…

あなたの笑った顔がもっと見たいから
いつの間にか泣いていたのも忘れて笑ってる僕がいる
ひたすら追いかけてゆく
白い雲の行く先は誰も知らない 無垢な少年のままの瞳に映る
きらめきながら
遠ざかる何もない景色に色をつけるあなたのくれる ひと夏の物語 抱きしめて

夜空に花火が打ち上げられ色鮮やかな大輪が咲く
その儚さに似た蝉の命の短さよ。

2011/07/16 (Sat)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -