詩人:どるとる | [投票][編集] |
絵本の中に描かれてる王様気取って
歩く道のりは
手を繋ぐ人もいないからとてもさびしい
切なさがぐっと胸を突き刺すような夜には自分が王様であることも忘れて子供のように泣き崩れる
僕は王様しかいない城の主(あるじ)
どこを見渡しても
僕を慕ってくれる
家来も守ってくれる兵士たちもいない
僕はちゃちなプライドや 見え透いた強がりを着こなして張りぼてのように 自分の心の中に見えない王国を築いて
ありもしない石垣でその王国を囲った
気づいたらひとりぼっち
僕は無防備な王様
自分が裸であることにも気づけずに 気づいたら孤独の身
キラキラした宝石も
金でできた王冠も全部 悲しいくらい幻なんだ
でべそを突き出して
ボロボロのマント 引きずるようにして歩く 僕の毎日はまるで
虐げられたように旅だ
裸の王様になんてなるつもりは無かったのに
いつの間にか 裸で王様気取っていた
優しい人の愛に
触れて僕は気づいた
裸の僕の心に
そっと優しさという毛布をかけてくれる人が僕の隣で微笑む
かける言葉もないけど
僕も笑い返した
なんでもない
いつもの夜
だけど
心が燃えているようにあたたかい夜
王様の瞳に涙が光る
宝石はその涙だね
さあ 姫君の手をとって歩み出す明日は
二人だけにしか見えない未来
まさしく楽園ともいうべき 愛の王国
愛してる それだけですべてがわかってしまう不思議に 僕ら
わけもなく 笑うんだ
僕はもう裸の王様じゃない
どこにでもいるただの王様さ。