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どるとるの部屋


[3113] 夏のアルバム
詩人:どるとる [投票][編集]


僕らが見た夏の夢は
泡のように消えた

音もなく静かに地面に落ちた線香花火

祭りの夜に切れた鼻緒を結びなおして

幼い時のようにはしゃいだ記憶が心のアルバムにそっとしまおう

夏の記憶が一つ一つ
よみがえっては消えてゆく
夏のアルバム
表紙ひらけば
いくつもの
記憶が蘇る
そして再び
夏はやってきて
僕らを焦がす太陽光線

うだるような日差しと
蝉しぐれに包まれて
逃げ込んだ日陰で
そっと口づけ交わした秘密の夏の午後
そんな記憶もそっとしまおう
夏のアルバム
表紙を閉じて
僕は振り返る
あの日の
君の横顔と
汗にまみれた
日々を
夏のアルバム
表紙を閉じても
消えない鮮やかな記憶
僕は忘れない
君の優しさ
君の匂い
きっとまた
来年 会えるだろう
微笑んだ君の横顔
とりたての野菜
縁側でやった花火
線香花火 誰が早く
落ちるか競ったよね
くだらないけど
そのくだらなさが
暑さの中に優しさをまぶしてくれる

夏のアルバム
心の奥に
しまうとき
僕は切なくなる
暑さが恋しくて
なぜかちょっとだけ
潤んだ瞳の先
横切る 赤トンボ
揺れるがまの穂
通り抜ける涼やかな風

数字だらけの味気ないカレンダーいっぱいに咲いた朝顔と君の笑顔。

2011/07/30 (Sat)

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