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どるとるの部屋


[3372] 風の子
詩人:どるとる [投票][編集]


僕の鼓膜を震わせる
よく通る君の声

素敵な素敵な 歌を奏でるよ

北風吹きすさぶ冷たい 時代に 人と人のあいだを縫うようにして生きるのさ 蛇行して言い訳を並べ立てて僕は進むのさ

さびしさを胸に
風に吹かれて
僕は生きる
口笛を吹いて
たまにゃ空見上げ
もの思いに耽れば
たちまち日々は怒涛に過ぎてく

振り返れば思い出と名付けられた記憶たちが頭の中で あの日の笑顔や涙を何度も巻き戻して観せる

南風吹く 僕の国には涙は必要はない
悲しいことなんて何ひとつありはしないんだから

僕の中で回り続ける
映写機が映し出した
あの日の僕の涙が今さらぶり返されるように 僕は泣いた
涙などもはや同情の枠には入らない 無情な時代の中で
人々の涙は美しくこんなにも輝くのに

せつなさを胸に
あふれる涙拭い
僕は歩いてく
途方もない旅へ
人にからかわれて
たまの休みには
行き先も告げずに
どっかへ出かけて
物憂げに窓辺に座り
思い出話のひとつでも語れば泣きたくなる

さびしさを胸に
風に吹かれて
僕は生きる
口笛を吹いて
たまにゃ空見上げ
もの思いに耽れば
たちまち日々は怒涛に過ぎてく

せつなさを胸に
あふれる涙拭い
僕は歩いてく
途方もない旅へ
人にからかわれて
たまの休みには
行き先も告げずに
どっかへ出かけて
物憂げに窓辺に座り
思い出話のひとつでも語れば泣きたくなる

泣きたくなるんだ

わかるかい?

風の子だって 心までは 着込むことはできないさ

寒さはしのげても
悲しみやせつなさは
しのぎようがない

ああ 並木道の向こう馴染みの喫茶店ボレロが潰れた

まわれ右で街に戻っても行き場はなく
僕はまっすぐ 家に帰る 仕事へ行く以外は冬眠するように 部屋に閉じこもり
世界の情勢を見守るふりしてふて寝する。

2011/11/13 (Sun)

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