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どるとるの部屋


[3485] 記憶の海
詩人:どるとる [投票][編集]


僕の涙も君の涙も大した違いはない

一人の涙も万人の涙の重さも大してかわりはない

笑顔に代わるものは
涙以上は無いのだろう
笑顔では到底表しきれない感動が涙では表せる

でも

涙に代わるものも笑顔以上は無いんだよ
時には泣けたいときもあるから そんなときには笑顔が案外役に立つ

沈んだまま もう二度と 浮かんでこない命だけど 涙をこぼせば海になる
あなたが泳ぐための海になる
記憶という名前の海になる あなたは永遠に僕の記憶の中で泳ぎ続けるんだよ
少ししょっぱい涙の海を泳ぎ続けるんだよ

僕の涙も君の涙も大した差違はない

ただ 君の涙は君しか流せない それだけ
僕の涙は僕しか流せないそれだけ

流せば流すほど
海は広がる

いくつもの思い出と
いくつもの宝物を
心にしまって
君は笑う

跡形もなくなって
はじめてわかる
幸せの意味
跡形もなくなって
はじめて気づく
優しさの感覚

親や誰かの有り難さ

記憶はたちまちスイッチが切れたように土壇場途切れる

幸せは風の中だけど
風には何もわからない

だから僕らは居もしない神様に願うんだ

どうか 明日はいい日になりますように

知ることのできない何かや
越えることのできない何かを
ごまかすように

僕らは海を広げる

増えてく記憶が
ワカメのように
揺れる 揺れる

命が泣いている
心が泣いている

少しの違いに
気づけない

僕の涙など
あなたの笑顔よりも
小さい 小さい

ミジンコほどの
重さです

だから僕は目を閉じる

暗闇にあなたを思い浮かべて

記憶の海を泳いでみる

記憶の海を泳いでみる

2011/12/05 (Mon)

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