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どるとるの部屋


[3501] 種と花
詩人:どるとる [投票][編集]


ありふれた日々が
ただどこまでも
続いていくよ
ゆらり ゆらり
風に揺れる
洗濯物が乾くように
絶え間ない時間をかけて
僕らも何もかもが
いつかは
長い旅を終え
同じ場所へ消えていくんだね

何もできないかな
何か果たせるのかな
それはわからないけど精一杯生きたいよ
泣くこともあるけど
いつの間にか そんな記憶も過ぎ去れば
大切な思い出に変わる

言葉以上の思いを込めて伝えたい人がいる
言葉を越えた気持ちを込めて 届けたい人がいる
それがあなた
あなた あなたなんだ

当たり前な日々の中
見渡せばほらね
わかるだろう
つまらない
景色の中に
咲いている
幸せの花が

今日もあなたの心に
種をたくさん蒔いたよ
うまくはできるかわからないけど
きれいな花が咲くといいな

ほら 悲しくてもね
腹時計は鳴るよ
ぐーぐー
お腹が鳴れば
家に帰る時間さ

夕焼け空の向こうまで
まっすぐ伸びた道を帰りましょう
悲しみさえもあとをついてくるけど

ああ 僕は今 当たり前な幸せを 心から感じてるのに 気づけないんだね
見過ごしている幸せはまだたくさんありそうだ

言葉以上 言葉を越えた何もない空っぽの世界で生まれた僕らはいつしか
物にまみれるうちに大切なものを見失っていたんだね

ほらね 何もかもがすべてよくできた幻さ
人魚のようにいつかは泡となり消える幻だ
もうだまされないぞ
ほんとに大切なものだけを抱きしめたら
歩き出すんだよ
この道を

ただどこまでも…
ただいつまでも…

種を蒔けば花が咲くように
用意されたマニュアルをこなしても
愛情を込めて育たなきゃきれいな花など咲くわけはない

だから…

当たり前な日々の中
見渡せば
ほらね
素敵な景色に出会えるはずだ

アスファルトの壁ばかり ビルばかり
それでも ほらね
あたたかな優しさは人の心の中にある
それこそが希望だ。

2011/12/10 (Sat)

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