ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 色褪せたベンチに腰掛けて

どるとるの部屋


[3909] 色褪せたベンチに腰掛けて
詩人:どるとる [投票][得票][編集]


瞼の裏に広がる
昨日の景色
青空が果てしなく
どこまでも
広がっていたよね
今日の雨が嘘のように 太陽輝いて

自由へのカーテン開いて 殺風景な部屋を飛び出そう
ここにはもう用はない

がらくたばかり集めて 憧ればかり散らかして 日々は愚かな僕を乗せて次の駅へ

若さは老いを隠すための言い訳と
年老いた人が 杖をつき僕に諭すのさ

もう 誰の言葉も忠告も耳にも入らない 目にもとまらない
僕は僕のままで
君は君のままで
歩幅気にせず
歩いていこう

わざと色褪せたベンチに腰掛けて
僕は老いをさらけ出す
わざと汚れて古びた時計を選んで
僕は残された時間を歩く

何を見つめてるの?
何を知っているの?
何を僕は失い得たんだろう
どれだけ、他人との違いがあって差があるだろう
もうそんな面倒な詮索は止めて
追いかけっこも止めて 自分の道を歩き出す

何かを成し遂げるため生まれたとか
歴史に名を残すため生きるとか
そんな大それた夢もないからね
僕は僕のまま
君は君のまま
速さ競わず
歩いていこう

そして色褪せたベンチからも腰を上げ
やがて然るべき場所へ
見えない時計が知るはずもない時刻を指し示したとき
思い出したように僕は消えていく

もうそのあとは何もない
味気ないラストシーンさ

もうそのあとは何も知らない
退屈な雨上がりの静けさが漂うだけさ

そしてまた誰かがこのベンチに座るとき
知ることだろう

老いる切なさや
その中に輝く
ときめきを。

2012/04/08 (Sun)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -