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どるとるの部屋


[4050] 空気
詩人:どるとる [投票][編集]


人と人との隙間に
今日もそびえ立つ
『他人』という壁
壊せないかな

見た目が違うだけで
一歩前に踏み出せば
僕らは等しく人だろう

何も差があるわけじゃなく
大した違いはないのです
言ってみれば僕らはみんな
そろいもそろってただの空気の塊
えらそうに振る舞うこともできないし
自分一人だけが特別なんてありゃしない
みんながみんな一様にくだらなければ
みんながみんな一様にくだらない
みんながみんな一様に素晴らしければ
みんながみんな一様に素晴らしい

それくらいの話です

人と人の間に
割り込むようにある
『概念』という思い込み
相変わらず邪魔だな

顔や見た目で区別する 僕らは時に愚か者
『いじめ』と『戦争』秤に乗せても大した違いはないのです

どちらもくだらないということからすればどちらも同じ

空気を読んで 向き合えるほど僕らはきっとまっすぐな歩き方には長けていない

だから時には傷つけあって互いの思いに気がつくために 無意味なことさえやってのける

空気にしては 賢くて
空気にしては あたたかい
体中にめぐる血潮が伝える生きてるという喜びが同時に伝える生きてる痛み

分かり合えない気持ちを分かり合い
交じり合わない心で交じり合い

僕らはさながら空気のように 人と人のあいだに立って 僕も人だと言葉にするんだよ

気づけば自我をなくすから
気づけば自分をなくすから

空気に色や形をつけるように意味に意味を付け加えるのさ。

2012/07/18 (Wed)

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