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どるとるの部屋


[4105] いつか吹いた風
詩人:どるとる [投票][編集]


いつかこの場所に吹いた風に聞く

ここで 笑った 泣いた そんな記憶の中に幸せはあるのかと

夕焼け空が街並みを覆うように 広がり
僕はすっかり黄昏の中 空気など読めず 一足先に泣いた

神様もいなけりゃ
魔法もない 毎日に
特別なことを求めたらありふれていて途端にあくびが出る

それでもきらめく何かがここにいつか吹いた風を連れてくる

幸せは 見えない 目蓋の裏に
悲しみは このほほを伝い流れて
いつか言い損ねた言葉を手繰り寄せ
思い出すあの日の胸の痛み

さよなら 世界が またひと回りして
新しい朝が来るまで僕らは夢に潜り込み
微睡んでいるよ

おはよう 夜明けとともに僕は何度でも気づく 最初から決められていたさよならを抱えたまま 僕らは生きていること 生きてゆくこと

それだけじゃ悲しすぎる
どうにも うまく歩けない

だからいつか吹いた風に吹かれて
せめて君だけは忘れないでと うたうの。

2012/08/03 (Fri)

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