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どるとるの部屋


[4218] さよなら帰り道
詩人:どるとる [投票][編集]


君は見たかい?
あの夕陽の赤を
君は気づいたかい?
あの夜の静けさに

誰も皆ポケットに
隠している
切なさやむなしさを
本当はさらけ出してしまいたい

泣けない夜を
いくつも乗り越え
場違いなにぎやかさに
ついていけず

さよならの向こう側に消えてく人の影が
今日も少しだけ この瞳をかすめたみたい

さよならも残さずに歩いてく人の群れ
今日も少しだけ このほほを流れたようだ

さみしさに気づけない
せつなさを見透かせない
人は誰も皆 悲しいことに気づかれないように笑って生きる
それをただ嘘つきと罵っても自分も同じ嘘つきだから
鏡合わせで 悲しくなる

気づけば夜が 気づけば朝が そこにあって
いつの間にか いつの間にか 歳を重ねて
覚えなくてもいいことばかり記憶に残って
時の波がさらっていった誰かの大切な残り火みたいな最後のあの帰り道に見せた笑顔だけはなぜか思い出せないよ

僕は今 思い出からの帰り道だよ

帰路に着いたら
今日のことも忘れてるのかな

最後のバスが出る。

2012/09/06 (Thu)

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