詩人:どるとる | [投票][編集] |
ああ、あの絵の中の少女はどこに行く
車輪を転がしどこを目指す
どこまで いつから
どこから なぜ
顔も見えない影に隠れたその笑みをその涙を
僕はデ・キリコになりながら 思う 想う 描く
街は今日も黄昏の中
煙突からはもくもくと煙が立ち上る
どこかもわからない閑散とした街の中
誰かが車輪を転がす
僕は今日も絵画の外で観客として世界を見据えて
勝手な評価で見る
馬鹿と天才の境目で
僕は転がす車輪を探す
街には今日も 少女がいて 車輪を転がす
転がすだけ でもその先へは進まない
今日も明日も静止画のままさ
僕は行きたいその絵の中へ
街の神秘に触れたい
憂愁にため息をつきたい
心臓はトレモロ
それでも僕はキリコにはなれず絵を眺めてただイメージを抱くだけ
そこにはただ いつものつまらない顔したたくさんの人間の群れが集まるだけ
ああ、あの絵の中の少女はどこに行く
車輪を転がしどこを目指す。