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どるとるの部屋


[5035] うつせみ
詩人:どるとる [投票][編集]


見えているものだけでは ないよ
この世界には 見えないものもあるよ
そんな「当たり前」を 知っているなら
見えないものともうまく付き合って行けるはずだ

夏の終わり まだ蒸し暑い昼下がり
アスファルトに 散らばる蝉の抜け殻
瞼の裏に まだ焼き付いているんだ
まるであなたのよう 胸の片隅白く横たわるうつせみ

窓の外には たくさんの音が
たくさんの景色があふれているよ
知ろうとしなければわからないものも
知りたくなければ目を閉じることも出来る
耳をふさいでも 聞こえてくるのさ
あなたのあの声 あなたのあの言葉

記憶の奥底にまだ咲いている
まるで日焼けの痕のように傷を残す うつせみ
風鈴の音がしていた
僕は窓辺で その音が遠ざかるのをただ
聞いていた ただ聞いていた

夏の終わり まだ蒸し暑い昼下がり
アスファルトに 散らばる蝉の抜け殻
瞼の裏に まだ焼き付いているんだ
まるであなたのよう 胸の片隅白く横たわるうつせみ。

2014/03/09 (Sun)

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