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どるとるの部屋


[5329] ナツノサガシモノ
詩人:どるとる [投票][編集]


長い長い 坂道を上りはじめた僕らは
夏の暑さにすっかりまいってしまって

汗をかきながら あぜ道を 駆けていた
少年の頃の記憶をたぐり寄せていた

畳の部屋 ごろんと横になり
遠ざかる意識の中で 蝉しぐれが
雨のように 鼓膜に降り注いだ

僕らは 何かをずっと探しているんだよ
青い空に 置いてきた大事な思い出

それは 夕暮れのようなきれいな宝物

写真やビデオじゃ 収めきれない
澄んだ瞳にだけ映る夏の横顔

なんとなく書き始めた日記帳は
三日と持たず やめてしまった

押し入れの中で見つけた絵日記の中には
沢山の思い出が あふれていたんだ

太陽の輪郭を 指でなぞったら
見えているものなんてごく僅かで
本当は心に映る景色こそ大切だと知った

瞼の裏の田園風景を自転車で駆け抜けて
追いかけても追いつけない夏の影を

陽炎の彼方に見ていたよ 今も

滑走路、助走をつけて飛び出した少年
あの頃夢中で追いかけてた夏の探し物

僕らは 何かをずっと探しているんだよ
青い空に 置いてきた大事な思い出

それは 夕暮れのようなきれいな宝物

写真やビデオじゃ 収めきれない
澄んだ瞳にだけ映る夏の横顔。

2014/05/11 (Sun)

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