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どるとるの部屋


[5330] 夏の影
詩人:どるとる [投票][編集]


窓の外に広がる 青い空と白い雲
誰かが落とした汗に映る 思い出

蝉しぐれ 遠くなったり 近づいたり
回る扇風機 庭の畑に咲く ひまわりの花

特別なことなんて何ひとつなくていい

ただ おぼろげな記憶をつなぎ合わせて
たったひと夏の思い出を刻み込むんだ

夢を見ているような そのさなかのような
夏が 長い長い坂道を駆け上がる
少年が 追いかけるものは かぶと虫でもアイスクリームでもなく

きらめくような でもありふれている
そんな夏の影

ああ窓に映るのは いつか忘れた
かき氷の味 それに似た甘い 思い出

縁日 屋台を回って 浴衣姿の君と手をつないではしゃいだ

ただ、あの手のぬくもりがあればいい

視界によぎってはすぐに消えてしまう
思い出せそうで思い出せないあの景色
背中に伝う汗も 日焼けの痛みさえも
何故だろうか 懐かしいのに 何もかもが遠すぎて 風鈴の音のよう つかの間の幻

一生に一度だけ見える見えない光
それは 夏の影

気づけば眠ってしまったんだ
目覚めたときに僕は何かを手にしてたよ
その気持ちが教えてくれた 大切なものはいつでも胸のなかにあること

何処にでもあるようでここにしかない夏

ただ おぼろげな記憶をつなぎ合わせて
たったひと夏の思い出を刻み込むんだ

夢を見ているような そのさなかのような
夏が 長い長い坂道を駆け上がる
少年が 追いかけるものは かぶと虫でもアイスクリームでもなく

きらめくような でもありふれている
そんな夏の影。

2014/05/11 (Sun)

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