詩人:どるとる | [投票][編集] |
夜を通り過ぎてゆく
雨はパラッと降って
すぐに降り止んだ
僕はだまされたような顔で佇んでいた
いじわるな春雨にからかわれ
がらんどう 胸の中
風が吹き抜けてゆく
答えは どこにもない
何かを待っている
誰かを待っている
朝じゃない朝を
夜じゃない夜を
愛じゃない愛を
君じゃない人を
僕じゃない人を
夢じゃない夢を
ひたすら待ちぼうけ
誰かが落としたろう
ハンカチ 桜色に染まってあらきれい
僕はすっかり色味をなくして
いくつもの嘘にうずもれて
硝子細工 花簪
景色が移り変わってく
規則性は 皆無です
何を待っているの
誰を待っているの
笑顔じゃない笑顔を
涙じゃない涙を
同じようで違う何かを
光じゃない光を
闇じゃない闇を
明日じゃない明日を
ひたすら 待ちぼうけ。