ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 堕天使の心

どるとるの部屋


[541] 堕天使の心
詩人:どるとる [投票][編集]


解き放たれて手にした生まれたての光
今 目の前に再び描きながら僕はこの世界に生まれたことを幸せに思うから
どうかそれに見合う喜びよ降り注げ
僕の頭の上に果てしなく広がる空の彼方から

走り出した瞬間の疾走感を忘れないで
そうさ そのままそのスピードからだんだんと自分の世界を広げてゆくんだよ

闇を裏切って闇から抜け出した黒い光
僕は今はもう光に目がなれてしまった
都会のビル群もアリのように人々が密集したこの街にも馴れさせられてしまったよ

失われたものがあるなら同情や優しさやぬくもりやその他いろいろ
たくさんあるけど僕なんかが口にしたところで何が変わるわけじゃないし

黒い翼をはためかせながらも心はいつでも真っ白な
堕天使は今日も夜空にきらめく星の美しさに涙を流す
黒い肌に流れる白い涙

今日も明日も堕天使の心で行くんだ
僕は善でも悪でもない旅人になるよ
行ったり来たりの日々
時には罪だって犯すかもしれない
それでも堕天使は今日も明日も忘れない
感謝と罪を犯したことへの申し訳なさ
きっと堕天使は誰より人間になりたいのさ
ただその形が不器用だから誰かを時に傷つけてしまうだけ

だけれど僕は決めたんだ
明日もずっとずっと先の未来でも今のまま生きていくと
堕天使の翼はためかせながら夜の街、銀色のビルをスライダーみたいに滑降する

黒い光 今 胸に感じてる
時々自分が自分じゃなくなるよ
だけれど忘れないよ
デビルマンみたいに
悪を裏切り正義へと生まれ変わった
そんな生き方は僕にはできない
永遠に悪と善をさまようかもしれない
だけれど僕は誓うよ
それでもきっと僕は僕でしかない
それなら僕以上にはならないと
だから僕はきっと悪以外は傷つけない

堕天使の心
今 光った
黒じゃなく
白く白く
今 光った
堕天使の 堕天使の心。

2009/11/21 (Sat)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -