詩人:どるとる | [投票][編集] |
窓の外は雨 僕の中にはまだ消えない
あの日の君の声 さよならって言葉が
まるで 繰り返される波のように
寄せては返して 胸の中の襞を撫でている
君のこと愛してた
死ぬほど好きだった
それは紛れもなく
確かなことなのに
あとひとつ何かが
足りなかったんだよ
僕は言えなかった
君を引き留められず
さよならを許してしまったよ
遠ざかる君の背中をただ見つめていた
甘い蜜のような 時間は既に過ぎ去り
すっかり甘さを無くした萎れた花で
僕は君のいなくなったあとの部屋の中
タバコばかりごまかすように吸ってた
君の笑顔も涙も
今は遠い日の幻
だけど思い出すこの手に灯っていた
あたたかいぬくもり
風のように吹き抜けて 僕を独りにした
僕は寂しさを隠す
さよならなんてしたくなかったよ
羽ばたくように消えた君はハミングバード
君のこと愛してた
死ぬほど好きだった
それは紛れもなく
確かなことなのに
あとひとつ何かが
足りなかったんだよ
僕は言えなかった
君を引き留められず
さよならを許してしまったよ
遠ざかる君の背中をただ見つめていた
どしゃ降りの雨の中に 佇みながら
ずぶ濡れの心は行き場もなく ただ雨音に沈んで。