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どるとるの部屋


[5488] 大きな林檎
詩人:どるとる [投票][編集]


僕はここにいるよ
そして絶えず何かを見つめている
そして絶えず何かに耳をすましてる

君はそこにいるよ
そして絶えず刻まれる時の音や
誰かの心に心を重ね合わせている

生まれる朝の果てには夜があって
消えてく光の果てには闇があって

そのあいだに 夕暮れはきれいに広がってる
寂しさを 染めていく
切なさを 染めていく
意味の意味を問いただすような
つまらない僕らの詮索を無視して
ただ何も言わず 佇む僕の影、大きな林檎のような夕陽が今沈んでく

すべての人に同じまなざしでこたえるように

僕はどこにもいない
だけどどこにでもいるとも言えるんだ
そして僕の存在について考えてしまうと

忽ち、意味を無くしたようになって
僕は自分の足元に伸びる影さえまともに信じられなくなる

生まれる命の果てには同じ命があって
消えてく命の果てには免れぬ死がある

無に向かってく 僕らの足取りは けして軽くない

街並みを 染めていく
シャツを 染めていく
そこにあるものもそこにはないものも
あると思えばほらね心も見えてくる
時を刻みながら脈打つ僕の心
言葉無くしても「また会おう」と呟いて

地平に落ちていく 夕陽に背を向け 帰って行く

この物語の先には
また同じような今日が続いてて見えざる何者かが頁を捲る

その頁の終わりに 夕暮れはきれいに広がってる
寂しさを 染めていく
切なさを 染めていく
意味の意味を問いただすような
つまらない僕らの詮索を無視して
ただ何も言わず 佇む僕の影、大きな林檎のような夕陽が今沈んでく

すべての人に同じまなざしでこたえるように

どうしょうもないさだめを背負った僕らを照らすように。

2014/07/06 (Sun)

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