詩人:どるとる | [投票][編集] |
透明な輪郭をなぞる見えない指先が
頭の中のイメージを縁取ってゆく
それはたとえばここにあるのに
どこにもない幻さ
それでもあると思えばなんだってここにあるよ
見えないものも聴こえないものも
無音の中にそっと耳をすまして
暗闇の中にそっと目を凝らして
想像するんだよ ありもしない世界を
そしてつかまえる感触のない確かなもの
触れられるものなら手を伸ばせばいい
でも見えないものや聴こえないものは
どうやってつかまえればいいのか
それを知るにはさわぐ心を落ち着かせて
静寂の中に そっと紛れ込むかすかな
心の揺れ動きに敏感になることさ
丹念にその音に神経を集めてはじめて
見えてくる聴こえてくるものがある
透明なのに色鮮やかに僕や私だけの世界。