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どるとるの部屋


[5770] あくび
詩人:どるとる [投票][編集]


何もない いつもの朝
やることもないから
ずっと あくびしている
なんとなく 誰かを思ったりもする
心の中に出来た少しの余裕で 油断しては傷ついてる
ここから見える眺めはただ ありきたりで
つまらない だけどいつも僕に変わらぬ安らぎをくれる

ただ 夜が 朝になって
朝が 夜になる その繰り返しの中で
人は いつか 消えていく
それだけのことなのにそれだけのことがこんなにうれしくて
悲しいのはなぜなんだろう

ページを捲るのはいたずらな風の仕業さ
命はただ運命にもてあそばれながら
その哀しみを ごまかすように僕らは
あくびするように 悲しくないふりをする

描いている 画用紙には
色の塗られてない今日が
胸の片隅に 放られてる
なんとなく 昔を振り返ったりして
柄にもなく涙ぐんで 届くはずもない空に手を伸ばした
持っているだけの愛で或いは優しさで
つまらない この世界を君と塗り替えていくくらいは出来そうだ
ただ 今日が明日になって
明日が明後日になるだけ 過去と未来は一本の道でつながってる
昨日が今日になったみたいに
今日がはるかな明日まで続いている
そしてもう引き返せない道を僕らは歩く

ふとわけもなく笑ったりするのは
その場しのぎのごまかしなんかじゃない
君がくれた 愛にこたえているのさ
雨上がり 雲の隙間から差す光

逃さぬように つかまえようその両手で

ページを捲るのはいたずらな風の仕業さ
命はただ運命にもてあそばれながら
その哀しみを ごまかすように僕らは
あくびするように 悲しくないふりをする
上書きするように 涙を笑顔で塗りつぶす。

2014/08/31 (Sun)

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