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どるとるの部屋


[5822] 夜明けを知らない人
詩人:どるとる [投票][編集]


僕は思ったんだよ
どこまでもわがままになれたらと

終わらないものなんて何ひとつない世界で
永遠を願う僕らは
恥ずべき生き物さ

尻尾だけ残して
逃げ去る 蜥蜴のように
僕は 大切なものを引き替えにして
新しい朝を 迎えた

ぱらぱらと捲る
私小説の中で続く
私利私欲を辿る
蹂躙する物語

僕も恥の多い
人生を送ってきました
文豪は僕を見て
お前も私と同じ
穴の狢と笑う

ない袖は振れない
何もない空っぽの小宇宙

夜明けを知らない人は叫ぶだろう
自分のつくったいかさまな物語の中で
悲しみと喜びが交差するこの世界で

魂ごと汚れた
僕は誰も愛せない
何ひとつ 手にすることもしないまま
空っぽの中で満たされている

見上げれば銀河を
走る 鉄道がある
それさえ幻と
僕は知っている

僕は あなたみたいに命の手綱を手放せないけど
ああ いつかあなたと同じ闇の中で
後悔に苦しむんだろうか

神は言ったよ
「そんなものあなたの都合のいい解釈、私には無関係の世界」

だから狂ってしまうのさ 無防備な命は

僕も恥の多い
人生を送ってきました
文豪は僕を見て
お前も私と同じ
穴の狢と笑う

僕は あなたみたいに命の手綱を手放せないけど
ああ いつかあなたと同じ闇の中で
後悔に苦しむんだろうか

そして ペンを
置くんだろうか
死という 形の
影を 遺して。

2014/09/20 (Sat)

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