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どるとるの部屋


[5871] 忘れられた名前
詩人:どるとる [投票][編集]


目を閉じてごらん 瞼の裏に広がる宇宙
耳をふさいでごらん 本当に大切な声がする
果たされない約束も もう会えない人も
いつかはきっと同じ場所にたどり着くよ
花が咲く 季節に青い空が 瞳の中広がる
ありふれたすべてのものへの感謝を僕は忘れない

もう何度も 歌われてきたすべての当たり前を 言葉にするには
「そこにあるもの」を見極めなければ何ひとつ見えないまま
ただ いつもと変わらない世界があるだけ

蒼く 染まった 意識の中に浮かぶ星
子供が描いた出来損ないの太陽系
宇宙に果てがないことさえもわからなかった あの頃の僕には世界は広すぎて
地面に 根を張る 草木や花々に重ねる
命の姿形 すべてのものへと血は注がれていく

大切なことや肝心なことなんかはずっと変わらないままだよ
「そばにあること」それはずっとかけがえのない出来事なのさ
それを君がどんなふうに思うか それだけ

長い時の間に いろんなことが変わってしまった
変わらないものは数えるほどで 僕の中にあるものも
ずいぶん変わったよ
その中には忘れられた名前がある
たとえるなら それはいつか僕を照らしていた光

もう何度も 歌われてきたすべての当たり前を 言葉にするには
「そこにあるもの」を見極めなければ何ひとつ見えないまま
ただ いつもと変わらない世界があるだけ

巡る 季節の中 変わらないただひとつの永遠
その中だけで息をする命 明日へと咲いて。

2014/10/12 (Sun)

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