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どるとるの部屋


[6007] 逆上がりのうた
詩人:どるとる [投票][編集]


「ルールや規則を守りましょう」
そう言い聞かされて 育てられてきたけど
時々この胸に生まれる矛盾がある
「あれおかしいな」
大人の世界じゃ当たり前なのかな
向かい風に逆らうように 時々、理不尽で不条理な世の中を垣間見る

僕の中で生きる喜びは逆上がりが出来たときの
お母さんがくれたあの笑顔が 多分世界のすべてだった
それなのに醜く歪んでく僕らの世界
本当の事を隠したがる世の中は嘘つきだと思い知った

「いじめや戦争は悪だ」
そう言い聞かされて 生きてきたのに
未だその傷を抱えて生きる人がいる
僕はばかだから ボタンの掛け違いみたいでこんがらがるんだ
世界はあの時確かに優しかったのに 今僕らに見えてる世界は冷たい
僕の中で生きる意味とは 何かを成し遂げてはじめて生まれるもんだと
そう思っていたのに結果ばかりに拘る大人が今じゃ憎らしい

世界が変わったんじゃなくて僕の見方が変わったんだと
あの日逆上がりが出来た僕を誉めてくれた世界はいうよ
だけど、夕暮れの公園の鉄棒空が180度回って
僕らは栄光を手にした
あの日の喜びや笑顔は嘘じゃない

だから僕はこんな世界でも 優しい優しい夕日の色に似た
逆上がりが出来たときの喜びにも似た生きる喜びを知ってる

ほら、ちっぽけだって
今も胸の中 手のひらの中に
瞳の中に その傍らに小さな小さな命が
あの日と僕と同じように逆上がりをしている

それはきっと生きる痛みを知ること
そして同時に生きる喜びを知ること
己と世界との間に
越えられない壁を築くこと。

2015/01/24 (Sat)

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