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どるとるの部屋


[6133] さよならを眺めていた
詩人:どるとる [投票][編集]


おもちゃ箱をひっくり返して
駄々をこねる子供のように
ないものねだりで 泣くだけで
日は暮れて 気づけばこんな夜の中

回る 回る 時計の針に 引きずられ
夜は有耶無耶なままに明けてしまう
時の 観覧車は誰を乗せて行くのか
行き先なんてないんだ僕らには
ただ順番が来るのを待つだけ

誰が決めたわけでもなくそこに世界があって
動かせない生と死が 隣り合っている
そこにはただのひとつも贔屓も優遇もない

空っぽの心を満たしたくて
とりあえず手頃な何かで代用する
欲望を貪っても 悲しいだけで
夢から覚めたとき僕はそれが夢と気づく

回れ 回れ いくつもの時を越えて さあ
年老いた 旅人の墓標に花を添えるまで
代わる代わる 変わる人の波
どこに行くのか わからないまま
遠くに見えるさよならを眺めていた

誰が 神様でもなく 与えられた自由な体で 一歩ずつ 行きたい場所に近づくんだ
羽もない 僕らはひとつずつ足跡を地道に刻む

物語の片隅に 灯る明かり
いつかは誰も終わりを知る
僕の命にも終わりがある
なんとなく わかるよ はるかなこの道の先でさよならが待ってること

誰が決めたわけでもなくそこに世界があって
動かせない生と死が 隣り合っている
そこにはただのひとつも贔屓も優遇もない。

2015/03/11 (Wed)

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