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どるとるの部屋


[6201] 走馬灯シネマ
詩人:どるとる [投票][編集]


瞼の裏の暗闇に昨日が映る
いつかの思い出が明かりのように
灯って 点いたり消えたりする
季節が変わっても 思い出は少しも色あせない
変わらないものも 変わりゆくものも
同じようにこの世界に 存在している

それが なんとなくうれしくて 悲しくて言葉にならないんだ

やがて何かが終わってそのかわりに何かが始まる
そして 誰かが生まれてどこかで誰かが死んでいく
そんな行ったり来たりする景色を眺めながら
ただひたすら 世界が終わるのを待つ

映画を観ている人の姿勢で
悲しい場面で泣いて楽しい場面で笑って
同じアングルで世界を見てる
今が明日になっても変わらず明日は今のまま
花は散ってもまた同じ場所に咲く
形は少しずつ違うけどここにある

それは寄せては返す 一度きりの旅
通り過ぎた 道に思い出が落ちてる

やがて 何かに気付いて
そのかわりに何かを忘れていく
雨に降られてる日もあれば 陽射しにめぐまれた日もある
同じ世界でも それぞれに異なる今を生きている
いくつもの人の 人生をその身にはらんでる

それはまるで 走馬灯のよう
在りし日の姿を映し出す
シャボンのように生まれては
消えていく 記憶のダイジェスト

やがて何かが終わってそのかわりに何かが始まる
そして 誰かが生まれてどこかで誰かが死んでいく
そんな行ったり来たりする景色を眺めながら
ただひたすら 世界が終わるのを待つ。

2015/04/01 (Wed)

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