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どるとるの部屋


[6292] アイロニー
詩人:どるとる [投票][編集]


僕はここにいるって
叫んだ途端に透明になって
もう何処にいるんだかわからない

アイデンティティとか
マイノリティとか
考えるべき議題はいくつもあるのに
僕は 苛立ちを
抑えきれずに
この街の喧騒にのみ込まれた

優しい言葉なんて聞きたくなくて耳をふさいだ
微笑ましい光景なんて見たくなくて目を閉じた
始まりから終わりまで 僕のこの譲れない思いは紛うことのないアイロニー

呼吸なんて存在の証にはならないことを 知ってる
僕らは確かめようもないあやふやな存在です

「命がどれだけ大事で」とか
「平和」の維持とか
守るべきものはいくらでもあるのに
僕は 口を開けば
誰かの悪口や文句で愛を口汚く罵る

同情されるくらいなら完膚なきまでに叩きのめされたい
安請け合いでわかった振りされるくらいなら否定されたい
お皿の端に さり気なく 避けられたピーマンやニンジンのような存在でいい

浅い眠りから覚めた僕は
また 性懲りもなく探してた
生きる意味とか理由とか
なんでも結論づけないと
どうにも 落ち着かない性分なんだ
可笑しいだろう?

優しい言葉なんて聞きたくなくて耳をふさいだ
微笑ましい光景なんて見たくなくて目を閉じた
始まりから終わりまで 僕のこの譲れない思いは紛うことのないアイロニー

でもその思いは なんてきれいに 輝いて見えるんだろう
どうして 僕はそれを 捨てれないんだろう。

2015/05/30 (Sat)

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