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どるとるの部屋


[636] 月におねがい
詩人:どるとる [投票][編集]


今夜もまた誰かの帰り道を照らす
雨だって雪だってそんなの関係ないさ
僕にはね夜空に浮かぶあの月が笑ってるように見えるんだ
ほらねふいの悲しみや切なさなんか無視していれば消えてゆく
でもね避けきれない悲しみが安心する僕を傷つける

月におねがいしたいくらいだよ
こんな毎日 もういやだから出口教えてってさ
でもただ月は笑うばかりで何も教えちゃくれやしない
やっぱりね
やっぱりね

簡単なからくりだろう
悲しいから悲しいなんて
言うまでもないくらいだろう
それでも悲しいんだよ

もう十分だろう

だから 月におねがい
僕に光を
その光を
分けてはくれまいか

申し訳程度に僕を照らす街路灯の下
そっと光から抜け出して月に祈る

どうか ささやかでいい
あなたの光をわけてくださいと
無意味だとはわかってても祈ってしまう

月におねがいしてしまう
そのくらい暗い暗い夜なのさ
何度 点けても消えてしまうマッチみたいに
きりがない夜なのさ
小さくてもいい
永久に消えない光をください
僕はおねがいしてしまう
月よおねがい。

2009/12/05 (Sat)

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