ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 雄弁なるカタルシス

どるとるの部屋


[6367] 雄弁なるカタルシス
詩人:どるとる [投票][編集]


かすかなまどろみの中に浮かぶようにたたずむ
かすかな 欲望は 渇きを求めて 宛もなくさまよう

たとえば 曖昧なままいつしか 途絶えた声のように
あるいは あやふやな言葉を つなぎ合わせてこしらえた詩のように
世界は その輪郭をぼやかしながら 僕の中に果てしなく広がる

終わらない計算式の空欄を埋めるのは
とってつけたような誰かの詭弁と間に合わせの慣用句

愛にラブを 足したような 甘ったるいラブソングに酔いしれて
ただ性を貪るだけの淫らな行為にモザイクをかける
いつの間にか読まされている出来合いの台本はきれいごとで埋め尽くされ
僕らは ギリギリの痛みの中に快楽を見出すために生きている

理由はどうであれ 明日を望むなら
物語の続きを 望むなら こんなとこで立ち止まっていられない

たとえば 絵に描いたような正しさがすべてなら
いつまでも矛盾は 置き去りのまま 答えは出ないね
世界は いつまでも答えを出すことをためらっているんだろう

それはある種の雄弁なるカタルシス
無理やり 正しさを装っているような 下手くそな擬態

ただありふれた喜びの中に ふと生まれる ほんの少しの幸せ
そこにある世界は どんなに目を凝らしても世界のままで
はみ出すこともなく逆らう理由もなくただ真っ直ぐに伸びたレールを辿る
ほんの少しでも 流れに逆らい 踏みとどまって 生きている

愛にラブを 足したような 甘ったるいラブソングに酔いしれて
ただ性を貪るだけの淫らな行為にモザイクをかける
いつの間にか読まされている出来合いの台本はきれいごとで埋め尽くされ
僕らは ギリギリの痛みの中に快楽を見出すために生きている。

2015/07/08 (Wed)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -