詩人:どるとる | [投票][編集] |
さよならが 風を染めている
通りすぎた思い出はまるでにわか雨
つかの間に枝先からこぼれ落ちる花びら
今誰かに別れを告げて 手を振るのなら
もう二度と出会えない 悲しみを言葉にするよ
泡になった 日々が
瞼の裏にぼおっと灯ったなら
さよならの日に間に合うように
せき止めていた涙を今静かに流そうよ
かけがえのない 尊ばしい日々を
忘れないように閉じ込めたなら行こう
扉を開けて新しい季節の風に吹かれて
ちっぽけな足音で心は目を覚まして
夜明けの街に 少しずつ朝が広がってゆく
ページをめくろう もう雨は止んだ。