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どるとるの部屋


[6643] ハミングバード
詩人:どるとる [投票][編集]


小さな微生物から

お茶の間の談笑まで

手広く世界を 見渡して見える

ここからの眺めは

神様も知らない

人々の営みがある

僕は誰かの悲しみを知らず喜びを知らず
愛を知らず 夢も知らない

だから 言葉などかけるつもりもないけど

少しだけあなたのことが気がかりなんです

心のかごから飛び立っていく

鳥の羽ばたき 聞こえたら

それは、物語の続きを求めて

旅立つハミングバード

ああ僕はもう夜明けが待ち遠しい

あと少しで夜も明けるというのに

かすかな予感が

心を満たしていくよ

見上げたり見下げたりしながら生きても

同じ気持ちにはなれない

だから肩を並べて

水平線上に立つの

僕は 誰かの子でもなければ親でもない

ただひとつの唯一無二の存在として歌うよ

愛を忘れたわけじゃないけど 今だけは

わがままに ひとりぼっちで黄昏させて

気持ちひとつぶん 枠からはみ出している

世界が変わる音を 聞いたなら

それは あなたが変わるタイミング

夢から覚めても終わらない夢

ああ 僕はもう その時が待てそうにない

生焼けのままでいいから食らいつきたい

窓の隙間から こぼれるほどの光

希望なんて 余るほどはないけど

あきらめるにはまだ早すぎる

逃げ出すにはまだ早すぎる

心のかごから飛び立っていく

鳥の羽ばたき 聞こえたら

それは、物語の続きを求めて

旅立つハミングバード

ああ僕はもう夜明けが待ち遠しい

あと少しで夜も明けるというのに。

2015/10/19 (Mon)

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