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どるとるの部屋


[6731] やさしい背中
詩人:どるとる [投票][編集]


切ないとか 悲しいとか 寂しいとか
言葉にしないとわからない

それはもっともな話だろう
だけどそれがすべてだろうか

耳や目で見たことがすべてだというには
僕らは心の中に気持ちをしまいこむだろう

隠れた傷痕にも気づけないようでは
優しさなんて何のためにあるのかな

誰かの なりふり構わない 優しさに
触れて僕は今 気づくよ

優しさはいつでも 遠慮のないものだから
優しくされるほうも遠慮なんかいらない

たとえば 疲れはてて眠った僕を 背中におぶさってくれた

いつかのやさしい背中のように 言葉なんかじゃ言えない

気持ちが 生まれたとき 僕は本当の愛を知ったような気がした

何が悲しいのか 何が嬉しいのか
表情から読み取れることは少なくない

だけど多くもない 顔に出せない 悲しみもある 喜びもある

ふれた指先が ほんのり あったかいのは
血が流れているからだけどそれだけかな

時には 遠慮していたら いつまでもわからないことがある
だから傷つけることも覚悟して

傷つけながらも 傷つけられながらも
何が愛かを 知ろうとすることが愛だよ

優しさはいつでも融通の利かないものだから 時に無遠慮にさせるよ

たとえば わかりあえずに喧嘩したあの夜
言い過ぎたかなと気に病んでしまった

そんな 気持ちの中に 優しさはそっと息づいている

叩いたこの手が知る痛みが いつか いつの日か優しさだと気づければいいな

叩かれたほうも痛い
でも 叩いたほうはもっと痛い
愛されていないと なぜわかるの
厳しさは愛の裏返しだよ わざわざ痛みを抱えることは優しさがないと出来ないことだ
だからあなたは十分愛されている。

2015/11/01 (Sun)

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