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どるとるの部屋


[6760] 水中花
詩人:どるとる [投票][編集]


ひとりぼっちで僕は孤独の海の中に
どこまでも沈み込んで愛を毛嫌いした

どうして僕らはこんなに同じ人に優しくできないんだろう

時に 冷たく突き放して 握った手を離してしまう

たとえば誰かを傷つけるより

僕はずっと誰かを愛したい

誰かを憎むくらいなら憎まれたい

たとえば同じ嘘でも

誰かを思いやる嘘なら

それはちっとも悪くはないから

僕はあなたと同じ人として

今日もあなたの目の前に

どんな顔をして 生きているんだろう

なんてことを 考えてみました

どれくらいの人たちがこの世界にいるの?
ここにいるよって声は誰にも聞こえない

耳をふさいだ本当の声が 暗闇に閉ざされた世界に花を咲かす

それは「自分」という名前の強い自分と弱い自分だよ

たとえば 人を嫌いになるよりも

僕は人を好きなままでいたいよ

誰かに裏切られても裏切りたくはない

たとえば 悪意が 僕にもあるなら

正義という言葉は軽々しく使えないな

自分だけが正しいふりはしたくない

僕はあなたと同じ人として

いつか、終わる命をどんなふうに

この先、愛していけるだろう

命のぶんだけ 心なしか体に負荷がかかる

通り過ぎてく人の中に 優しさを探す夕暮れ

歩き疲れて幾分 火照った体

折角誰かを愛せるのに気持ちばかりをもて余している
悲しくたゆたう水中花

たとえば誰かを傷つけるより

僕はずっと誰かを愛したい

誰かを憎むくらいなら憎まれたい

たとえば同じ嘘でも

誰かを思いやる嘘なら

それはちっとも悪くはないから

僕はあなたと同じ人として

今日もあなたの目の前に

どんな顔をして 生きているんだろう

なんてことを 考えてみました。

2015/11/05 (Thu)

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