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どるとるの部屋


[7083] 正体
詩人:どるとる [投票][編集]


胸のいちばん 奥で僕を呼んでる声がする
それは新しい旅のはじまりを予感させたよ

窓から見えるいくつもの ストーリー
枝分かれするように連なり繋がってく

誰かが 引いたレールを外れて
宛もない旅をしてる 羽もない僕らには
大地を歩く この両足が肝心要だよ

ちっぽけなプライドと少しの優しさで出来た
ちゃちな体を ふるいたたせてどこまでも行く

僕が僕である理由も僕が僕である必要もない
よって時に僕は僕ではなく 僕以上の何か 或いは僕以外の何か
その正体すらも わからない

そんな気持ちに 羽が生えて 一人歩きするように 旅立つ

はじまりなんて いつも 突然なんだ
わがままに 叫んだ大義名分 叫んだそばからあやふやな覚悟

ぼやけてく世界の輪郭線をなぞる指先は意味もわからない正義を全う

耳をふさいだら きれいな音すら聞こえない
目を閉じたら あざやかな色が視界から消えた

意味と理由を混同してしまうから
わけがわからなくなる 絡まる 糸と意図

僕は なんだとか 僕は誰だとか もうそんなのはどうでもいい
ただ、僕は知りたいだけなのさ この先を

僕は僕である前から僕なのか 或いはそれ以前から僕なのか
そもそも僕は僕なのか 前提さえも曖昧だから 計算することも不可能

正体は依然 わからない

卵のひびのひとつに過ぎないよ こんな推測は

答えを出さないと どうにもやりきれないから 理由をつけて
たとえば 意思を持った細胞のカタマリに似合わない意味を押しつけてるだけ

だから僕は僕だというこの 何の確証もない単なる憶測に 光を灯さんと生きている

ああ 答えなどない
ただすべてはあるべくしてある
それだけだというのに。

2015/12/26 (Sat)

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