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どるとるの部屋


[7108] 海猫ダイアリー
詩人:どるとる [投票][編集]


まぶたの裏に 今も残っている
花のように 咲いた思い出は

海の見える この小さな屋根の下に
渚を走る 風が からからと笑う

ささやかな優しい言葉と
ほんの少しの涙で
ほどよくあったまった心で

景色を染める 青
白い砂浜も 通り過ぎてく車窓の向こう

もうあんなに遠く
海猫の羽ばたきも 昨日降った雨も

優しく包んでる 光と水の国 一抹の不安もない

レコードは回る 誰かのために
変わらない音を丁寧に刻みながら

この空の青さが くれる幸せは
ありふれた魔法の仕業です

紡ぎ出す 糸のように 一つ一つ 編み上げていく思い出を
下手くそな歌声にのせて

泡になったマーメイド
遠い昔の物語を たどりながら 旅行く

意味のないことも 無意味なことも 形のあるなしも

同じ手のひらの上で 続く営み 違いなどあるものか

夜明けをとうに過ぎたころ 寝坊助の猫は

やっと 起き上がり 一人散歩に出る

今日もまた すでに手にしてる幸せを探してる

景色を染める 青
白い砂浜も 通り過ぎてく車窓の向こう

もうあんなに遠く
海猫の羽ばたきも 昨日降った雨も

優しく包んでる 光と水の国 一抹の不安もない。

2015/12/30 (Wed)

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