ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 桜

どるとるの部屋


[7125] 
詩人:どるとる [投票][編集]


桜の花びらが アスファルトを
桃色に 染める季節は
なぜか あなたに会いたくなるのです

あなたが好きな絵はがきと押し花を添えて
あなたに送るこの届かない思い

流れ星が 屋根をかすめてく
そんな夜には もう出会えない誰かに会いたくなる

風が さらった 花びらが 僕のほほを撫でて
いつかの さよならを そっと 景色に描くから僕は少し立ち止まる

手を 差し伸べて 広げた手のひらに
舞い落ちた 花びらの一枚を 包み込んだ

君の手のぬくもりによく似た手ざわり
あたたかくこの胸に陽射しが舞い降りた

言葉にならないときは 何を頼ればいい
道に迷った僕は宛もなくさまよった

甘い花の匂いが 鼻をくすぐると 踏みしめた花びらの 一つ一つに思い出が映る
あなたが僕の心に書き残した手紙

素敵な言葉ばかり 探しているうちは
きっと愛なんて見えない だって愛は思うより汚いものだから
でもだからこそ積み重ねてく中で その汚ささえも 可愛らしく見えてくることもある

風が さらった 花びらが 僕のほほを撫でて
いつかの さよならを そっと 景色に描くから僕は少し立ち止まる。

2016/01/01 (Fri)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -