詩人:どるとる | [投票][編集] |
たとえば どこかの誰かの命が
今日で終わりを迎えるのなら
僕は名前も知らないその命に
どんな言葉を ささげられるだろう
黙ったままでいくつもの季節を
随分 遠回りしてきたけど
意味のない ものなんて何もない
何もなかった気がするんだ
花ひらく その瞬間の 刹那を
笑顔で迎えた僕らは 最後の日 涙に濡れて
手を振ることもできず 項垂れていた
重ねた唇の ぬくもりを思い出せば
ぼやけた輪郭線 途切れたレール
呟いた言葉には 何の意味もなく
ただ こぼれるだけだ 陽射しみたいに
忘れていくことが 正しいのかは
わからない ただそれが悲しいのなら
覚えておこう 見聞きしたすべてを
思い出の中に そっとしまって
あんなにも 楽しそうに笑っていた昨日
嘘にしてほしい 今日の日の さよなら
もう 言葉は必要ない 届かない声だから
空の 星を見つけたら私だと思って
見つめてねなんて きれいすぎる別れ
でも痛みは残る 消えない傷になって
花ひらく その瞬間の 刹那を
笑顔で迎えた僕らは 最後の日 涙に濡れて
手を振ることもできず 項垂れていた。