詩人:どるとる | [投票][編集] |
ピントのずれた ぼやけた レンズの世界
名前もない悲しみに涙を見せる位なら意味もなく笑うさ
通り過ぎた雨もこの街にのさばる退屈も
読まないのに取る新聞も 片隅に咲く花も
僕にとって今は用はない
目を閉じた暗闇に 指で描いた光の輪に
透かして見た 嘘ばかりの愛すべき世界は
本当も嘘もない交ぜになっていた
夢から覚めた朝 生まれたての心で泣いた
まばたきの数秒後の世界と数秒前の世界
間違い探しを してもわからない 些細な違いを 宛もなく探してる
顔のない友人も 連絡のない電話も
インクのない万年筆も生乾きの洗濯物も
僕にとって何の役にも立たない
約束をした覚えもない死を与えられ
刻々と削られる時間の渦に飲み込まれ
あわよくば無意味なすべてに無理やり意味を押し付けて感情に流される
作られた正しさの上で生きる
僕らは神様の手のひらの上さ
生きたい 気持ちがなくならないかぎり
死にたい 気持ちもまたなくならない
目を閉じた暗闇に 指で描いた光の輪に
透かして見た 嘘ばかりの愛すべき世界は
本当も嘘もない交ぜになっていた
夢から覚めた朝 生まれたての心で泣いた。