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どるとるの部屋


[7358] 桜色の栞
詩人:どるとる [投票][編集]


人の命が 時計なら時間を刻んでいく

その途中に僕らは生かされている

胸の中に大切にしまった思い出が

本の途中に挟んだ栞のように

続きを読みたい気持ちを阻んでる

宛もなくめくるページの向こうには

まだ知らない朝があって夜があって

出会ったこともない人が笑ってる

一分一秒ごとに失われていく時間が

ほらまたひとつ君の時間を奪っても

今日だけでもたくさんの思い出ができた

それだけでもう生まれた意味はあるよ

栞がないのなら桜の花びらを挟んで

今日はここまで読みましたって証に

涙も笑顔も忘れないようにしまうよ

過ぎてく日々 流れる人波に揺られて

どこまで行くのだろうかこの心は

風がめくるページのその向こうには

今日の悲しみに報いるような幸せがある

雨上がりにふさわしい虹のような幸せが

刻一刻と 迫るめでたしのその時までには
まだ少しだけ 余裕があるみたいだなあ

明日はどんな人との出会いがあるかな

それだけでも 生きていく意味にはなる

風に流されてく 葉っぱの一枚にも

今は亡き人の面影を重ねれば

なんて 愛しくこの瞳に寄り添うのだろう

涙が 溢れて止まらぬ初春の夜

一分一秒ごとに失われていく時間が

ほらまたひとつ君の時間を奪っても

今日だけでもたくさんの思い出ができた

それだけでもう生まれた意味はあるよ。

2016/02/13 (Sat)

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