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どるとるの部屋


[7749] タイムカプセル
詩人:どるとる [投票][編集]


「十年後に開けよう」って
約束して 校庭に埋めたタイムカプセル

十年の歳月は いろんなものを変えた
人の気持ちも 街の景観も 風の色さえも

変わらないもの 探しながら 街を歩く
だけど 変わらないものがあったのに

いくら探しても見つけられない。変わってしまったのは僕も同じだから

十年後、またここに集まって
懐かしく 今日を思い出せる

そう信じていた 僕らは嘘じゃないのに
あまりにきれいな未来を見すぎていた

風がめくった 机の上のアルバムには
懐かしい 顔たちが並んでいるのに

誰一人思い出せないのは 帰らない昔を知っているから

灯る街の明かり 商店街を歩けば
人もまばらで 猫があくびするだけ

同窓会の招待状すら来ない
毎日ポストを確かめる

僕らの明日は 眩しいくらいに輝いて
今日みたいに 笑っているだろう

変わらないと思ってた 僕が一番
変わってしまったのかもしれない

愛美ちゃんが 初恋の人だったことも
今は もう 遠い昔だけど
あの頃の気持ちは 今も少しなら
思い出せるよ 寝ずに書いた手紙が
雨に濡れて渡せなかったあの日の切なさも

十年後、またここに集まって
懐かしく 今日を思い出せる

そう信じていた 僕らは嘘じゃないのに
あまりにきれいな未来を見すぎていた。

2016/05/01 (Sun)

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