ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 夕暮れの街に灯るささやかな明かりのような

どるとるの部屋


[7764] 夕暮れの街に灯るささやかな明かりのような
詩人:どるとる [投票][編集]


夜を待つように 静かにたたずむ街は
炒めた玉ねぎのようなきつね色の空
誰かのために伸びてく道と遠くの明かり

なくさないようにつないだ手を離してく
消えてく温もりを確かめる
すぐに消えてしまいそうな頼りない小さな光

缶のコーンポタージュ 二人ぶん買って
少し冷えた体を あたためる
夜は案外 寒いから上着を一枚羽織る

夕暮れの街に灯るささやかな明かりのような
優しさに 寄りかかる それを見届けたように 沈む夕日
さよならと小さく振った利き手の右手

円を描くように 氷の上を滑る スケート
華麗に回る スピンの数を競う
僕にも描けるかな たとえば誰かの心に

ぼんやりとした 輪郭を指でなぞりながら
かすかな息づかいを確かめる
もしもそこにいるのならば 夜は暗いから合図をくれよ

今日の出来事をお互いに言い合って
笑ったり 泣いたりする今が 続けばいいな
映画のように 黒いわく線の上に立つ二人

光と影が僕らの足元に作り出すアート
「あなたはここに間違いなくいるよ」って 教えてるように
あなたが 笑えば影も笑うよ
今ふたつの影がひとつに重なる

寂しさが 数センチはみ出して
ベロンと 舌を出すようにだらしないね

でもたまには 弱音を見せて
僕が必要だってことわからせて

そうそう強がられちゃ 困るんだよ
弱くて 素直な君に会いたい気分さ

缶のコーンポタージュ 二人ぶん買って
少し冷えた体を あたためる
夜は案外 寒いから上着を一枚羽織る

夕暮れの街に灯るささやかな明かりのような
優しさに 寄りかかる それを見届けたように 沈む夕日
さよならと小さく振った利き手の右手。

2016/05/04 (Wed)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -