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どるとるの部屋


[7833] 少年
詩人:どるとる [投票][編集]


通りすぎてく 少年の背中に抱えられた
未来は 翼ではなくまだ小さな羽根の一枚

余計なくらい期待を背負わされて
今にもつぶれそうな少年は
ブランコを漕ぎながら ため息ついてた

君は 大人になる階段を上っているんだよ
誰かがそう言った気がした だけど
そんな言葉は 僕には何の役にも立たず
青春は ただ迷うばかりの苦しみ喘ぐ日々の中 僕を苛めるすべてを思春期のせいにした

少年の瞳に宿る光と影 いつかは少年も大人になる 僕のように

僕や君の 場合を教えても 少年にはなんの 支えにもならない
少年には少年の 夢があり 未来があるから

君は 大人になるための痛みに耐えている
それを越えたときに大人になるんだよ
誰かが 教則本の名文句を読んだ気がした
夕暮れの 誰もいない公園に一人
12で未来について考えさせられ 責任を負わされる大人の勝手な期待の的になっていた

ポケットから こぼれ落ちた
ビー玉みたいな 涙が溢れ出して
川になってやがて海になった
こんなに多くの人に囲まれながら僕は少しずつ孤独になる

君は 大人になる階段を上っているんだよ
誰かがそう言った気がした だけど
そんな言葉は 僕には何の役にも立たず
青春は ただ迷うばかりの苦しみ喘ぐ日々の中 僕を苛めるすべてを思春期のせいにした

僕は気づかないあいだに心だけ少年から大人になっていた。

2016/05/15 (Sun)

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