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どるとるの部屋


[7850] 願い事
詩人:どるとる [投票][編集]


花火が空高く 舞い上がる夜
光が 色とりどりに空を飾るよ

君は あの日 笑っていたよね
切れた鼻緒を しゃがんで結び直す

君のうなじに 汗がひとすじ
あわてて目を反らした僕に気づいた君が
いたずらっぽく笑ったのを覚えてる

僕の手を引いて どこまでも
子供みたいに駆けていく君が

どんなものより愛しく見えた日に
僕の中で君は特別になった

だからいつまでもこの幸せが
続くようにと 流れる星に願ったの

あの日の願いは 僕の隣で笑う君が明らかにしてくれる

人混みに 迷わないように 繋いでた手は
心を つないでた赤い糸に見えたんだ

あまりの人の多さに酔ってしまった僕は
人混みから離れて 煙草を吸ってた

見上げる空に夏を見つけた
あれはなんて星なのかなって聞いたよ
僕らの夏は 宝物みたいな日々です

かけがえのない 今しかない時を
積み重ねて いつか思い出になるかな

遠い昔に描いた 絵日記の下手くそな絵に
にじんでた輝くもの 探しているんだよ

昨日と変わらぬこの幸せが
明日も 変わらないように 願ったの

星が流れた あの日と同じ夏の夜

今の私にはこの浴衣は少し 派手かしらなんて 言う君に
そんなことはないって 言えるようになった
僕は少しは 大人になったかなって
聞きたかったけど やっぱりやめた
あの日と変わらない君に思わず見とれてしまったから

僕の手を引いて どこまでも
子供みたいに駆けていく君が

どんなものより愛しく見えた日に
僕の中で君は特別になった

だからいつまでもこの幸せが
続くようにと 流れる星に願ったの

あの日の願いは 僕の隣で笑う君が明らかにしてくれる

あの日の僕の願いと君の願いが
同じだったことを僕に教えてくれる

二度とかえらない若かれし夏の日々を
思い出すとき伝う涙は汗と混じって
悲しみを 優しく流した。

2016/05/21 (Sat)

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