ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 夏のあとしまつ

どるとるの部屋


[7881] 夏のあとしまつ
詩人:どるとる [投票][編集]


夏草が揺れて 畦道に 落ちた小さな影

雨上がりの道に小さな海のような水溜まり

花火をやろうって言い出したのは君

線香花火の最後の一本の切なさ

じゅわっと 落ちるまでの短い永遠

今、私の夏が静かに終わる

ほら 遠くなってゆく蝉の声

さよならを 言うように

目を閉じた暗闇に描く 思い出の場面

絵の具はないから モノクロの昔の写真みたいだ

バケツに放り込まれた花火の残骸

夏のあとしまつをするように片付ける

思ったよりも呆気ない夏の終わり

今、またひとつ 夏の命が息絶える

ほら うつせみをそっと形見のように

心に何かを 置いていく

花火をやろうって言い出したのは君

線香花火の最後の一本の切なさ

じゅわっと 落ちるまでの短い永遠

今、私の夏が静かに終わる

ほら 遠くなってゆく蝉の声

さよならを 言うように。

2016/05/27 (Fri)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -