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どるとるの部屋


[7932] 夏の幻
詩人:どるとる [投票][編集]


梅雨時を過ぎて 湿った雨が 止んで
畳に寝転がって 日がな一日ぼんやりと
猫とうたた寝 大きないびきをかいて

放浪 放浪 放浪 世捨て人の装い
空に浮かぶ白い雲のあとを追いかけて

そのまま世界のどこからも いなくなりたい

ページを捲る また捲る 捲る また捲る
目眩く夏の幻

階段を上る 上る 上る 時々下る 腹を下す 下す 下す

夏祭り 宵かがり
花火 切れた鼻緒
結ぶ 結ぶ
しゃがみこむ
ちらりと見えるうなじ

エロい いや寧ろ 色っぽいね

下駄を 鳴らして
カンカンカン
かんかん照り日照り 日照り 日照り

世界は終わって
始まる

一周 回って
また 回る

生まれ変わる
サナギから孵る

ページを捲る また捲る 捲る また捲る
目眩く夏の幻

階段を上る 上る 上る 時々下る 腹を下す 下す 下す

夏祭り 宵かがり
花火 切れた鼻緒
結ぶ 結ぶ
しゃがみこむ
ちらりと見えるうなじ

思い出は 苔むした石の下に眠る。

2016/06/05 (Sun)

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