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どるとるの部屋


[7956] 悪者
詩人:どるとる [投票][編集]


「幸せにするよ」その言葉には嘘はない
でもそのための道が見つからなかった

夜明けまで答えが同じだったなら
明日、市役所に行って離婚届けをもらおう

君が嫌いになったわなけじゃないけれど
二人のために ならないよ このまま関係を続けてても
幸せにはなれそうもないから

離婚届けに判を捺すとき 子供の目を見れなかった
泣きもせずに 何もわからずに笑ってる子供が堪らなくて

最後の観覧車 家族で来るのもこれが最後
月に一度はお金を送るよ 子供とは会わないのがけじめだと思った

小さなうちに別れたらきっと
僕の顔も覚えずに 悲しまなくていいから

それでも 君の手は僕の手を離さない
無理やり離したら 僕はきっと悪者だね

テーブルに残された二人の判子が捺された離婚届け

振り返る アパートが涙でにじんでく
言葉では語り尽くせないから

今日をいつか思い出すとき
僕には 家族と名乗る資格はない

でも、家族と行った遊園地の観覧車から見下ろした町は日暮れ間近の茜色
とてもきれいだった
これだけは 捨てないで持っているよ

今年で9つになる僕の子供は
ランドセルを 背負って 学校に 通ってる

遠くからこっそりと眺めている 僕はやっぱり悪者だね。

2016/06/12 (Sun)

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