詩人:どるとる | [投票][編集] |
さよならを拒むように君の手を離せない
我が儘な僕の悪い癖がこんな時に出たね
出会った時に 運命と思っていたんだよ
君が同じこと言ったときは笑ったのに
こんな勝手な僕を許してね
もう くだらないことで喧嘩することも出来ない
なぜ僕らは出会ったのだろう
そんな答えもない問いかけを
飽きるまで繰り返した 日々は過ぎて
ポケットを探る 煙草は切れてしまった
ごまかしようのない気持ちが遂に涙になって溢れるよ
結び目から手が するりとほどけていく
電車に乗って 手を振る君が皮肉にも
今まででいちばん きれいに見えた
やっぱり 僕は 君を愛しているんだ
抱えた思い出が あまりに 多すぎて
全部は思い出せない 超大作の映画みたいだ
小説にしたなら きっと売れるだろう
ありふれた 喜びとありふれた悲しみの中に
秘められた淡い物語
読者に 寄り添った普遍的なストーリー
でもあまりに ありきたりで 退屈しちゃうね
だから僕らもいつの間にか 飽きてしまったのかな
目のやり場に困ってしまう 意味なく 空を泳ぐ眼差し
電車が 来るまでの時間は果てしなく長く感じた
僕のシャツの裾を つかんだままの君が
黙ったまま眼差しを 落としていた
かける言葉もないまま電車は来てしまう
窓越しにささやいた 言葉は聞こえない
珈琲一杯分の時間があっという間に
こぼれて流れて 跡形もなく消えた
胸の中に残るカフェインのような痛みが
僕の心に消えない傷を刻んでゆくよ
ポケットを探る 煙草は切れてしまった
ごまかしようのない気持ちが遂に涙になって溢れるよ
結び目から手が するりとほどけていく
電車に乗って 手を振る君が皮肉にも
今まででいちばん きれいに見えた
やっぱり 僕は 君を愛しているんだ
やっぱり 僕は 君しか愛せない
それを言おうとしてやっぱりやめた。