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どるとるの部屋


[7965] アイデンティティーの死
詩人:どるとる [投票][編集]


夜明けの街を 惚けたような顔で走る
錆びた廃線のレール辿って目指す

絶望によく似た「諦め」という名の
僕だけに用意された路線図にない終着駅

痛みなく死ねるならどんなにいいだろう
願うのは 最も苦労のない 安易な死だ

集まってはバラけていく思い
振り子細工の軌道で進む時間

テープを巻き戻すように繰り返される
退屈な日常に飽きた人達が願った退廃

受験戦争に負けた 男が選んだ 選択を
笑う資格は 僕には多分ないのです

取って付けたような嘘 鏡に映る 醜態
あわてて引き出しにしまった 昨日

つまらない小説も 読み終えないと
気がすまないのはなぜだろう
命もまた 小説だ

はるか先まで ページを捲ってく手を
冬の寒さに凍えないようあたためて

密室で起きたミステリー 解き明かしてよ
パズルの最後のピースだけ足りないよ

自我を なくしたあわれなピエロに
窓辺に光を降らせてくれたなら

生きながらにして死んでるような
瞳なんて しなくても良かったね

痛みなく死ねるならどんなにいいだろう
願うのは 最も苦労のない 安易な死

集まってはバラけていく思い
振り子細工の軌道で進む時間

テープを巻き戻すように繰り返される
退屈な日常に飽きた人達が願った退廃

それこそが 生きるための手段だったんだね

アイデンティティーの死から 始まる世界。

2016/06/17 (Fri)

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