詩人:どるとる | [投票][編集] |
まだ今年は姿をあらわしてない雪が降る去年の今ごろ
僕らは別れた
時が二人を分かつまでもなく僕らは終わった
つないでた手を離した
君にもらったいくつもの言葉
クリスマスプレゼントにって編んでもらった白い雪みたいなマフラー
そのひとつひとつがまるでほつれていくように僕の記憶からも消えてゆく
そう思うと悲しかった
あの日は今よりもっと
今とあの日が重なって 雪が降るあの景色がまるでよみがえったように心に写った君との最後の夜
最後くらいは一緒にいようと優しい君は言ったんだ
それでも君との時間は手のひらに舞い落ちる雪のようにはかない手触りを残しながら溶けてすぐ消える
君とのさよならの時間が近づくほど切なさはつのる
どうしてさよならしなきゃいけないのかも忘れてしまう
そして雪に埋もれた白い記憶は今まさによみがえってくる
でもまたすぐに忘れてしまう
本当に悲しい記憶は雪とおなじだから
そうさ、さよならは雪のように僕の中で溶けてはまた冬になれば不思議によみがえる
はじめての恋で
はじめての失恋をした
一度で二度マズい記憶
今年もはかない雪が降りそうだ
そしたらまた悲しくなって忘れていた記憶に涙が止まらなくなる
ああ、忘れたいんだ
忘れたいんだけれど
君との日々があまりにも幸せすぎてね
忘れたいという気持ちより忘れたくないという気持ちが先に立ってしまうんだ
いつもいつもいつも
冬が来るたびグッと胸がズキリ痛んで君がもう恋しくなって。